地元のスキー場として地域の雇用を守る

若者から往年のスキーヤー・スノーボーダーまで、幅広いファンに親しまれる

画像：白山セイモアスキー場

白山白川郷ホワイトロードに通じる、白山市尾添（おぞう）にある白山一里野温泉スキー場。金沢市から車で1時間半という立地にあることから、「石川県のスキー場」として広く愛されてきました。全長1400メートルのゴンドラをはじめ5本のリフトがある広々としたゲレンデで、初級者から上級者まで幅広い人が楽しめるコースバリエーションが評判。若者から往年のスキー・スノーボーダーまでファン層が幅広いのが特徴です。また子どもが安心して遊ぶことのできるキッズパークも整備されており、子連れファミリーからも厚い支持を得ており、多くの石川県民がここでの思い出を持っているのではないでしょうか。

画像：白山セイモアスキー場

スキー場を運営しているのは、株式会社スノーエリアマネジメント白山（通称：SAM白山）です。平成17年（2005年）の白山市市町村合併の際、このエリアにあるスキー場の再編も行われ、SAM白山が指定管理者として運営を引き継ぎました。

現在、SAM白山は一里野温泉スキー場をはじめ、「瀬女コテージ村」（白山市瀬戸）、「白山癒しの湯天領」（白山市尾添、2024年現在休館中）、「白山セイモアスキー場」（白山市河内町）の運営を担うほか、獅子吼高原のゴンドラを管理しています。

冬場の働き場所として

白山一里野温泉スキー場は今からおよそ40年ほど前、スキーブームも後押しし、旧尾添村の村営スキー場としてオープンしました。以降、地元民に親しまれてきただけでなく、関西圏や海外からも多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れるようになりました。

林業や農業など山の仕事が主要であったこの地において「昔は本当に冬場の仕事がありませんでした」と話す、白山一里野温泉スキー場支配人の寺祥澄さん。現在でも春から秋は林業や農業などに汗を流し、冬はスキー場で働くというライフスタイルをしている人が一定数おり、スキー場は地域の雇用を守るために欠かせない存在になっています。

寺さんは石川県小松市出身。もともと白山市にある宿泊施設で働いていましたが、閉館するにあたってSAM白山へ転職しました。現在は広報として宣伝に勤しむほか、営業担当としても忙しく働いています。「繁忙期は売店や食堂の手伝いをすることもありますよ」と笑う寺さん。「この仕事は自然が相手なので思うようにいかないことも多いですが、雪が降ったり天気が良かったりすると『やったぞ』と思いますね」と教えてくれました。

ウインタースポーツの魅力について、「冬はなかなか運動する機会がないですが、自然のなかで思い切り体を動かすことができること。ぜひ一度体験して、魅力を感じていただければ」と語ります。

ウインタースポーツを愛する人たちが集まる

同社では現在、期間限定でスキー場でのリフト係（アルバイト）を募集しています。業務内容は、改札でのリフト券確認や乗り場の整備など。チームでの仕事となるので人とのコミュニケーションを取るのが好きな人や、命を守る仕事であるという責任感を持って業務に当たることができる人を求めています。

働いている人のなかには、前述のように農業や林業従事者のほか、スキー場が好きな人やスキーやスノーボードが好きな人も多くいます。見逃せないのが、休日は白山一里野温泉スキー場とセイモアスキー場で滑り放題だということ。「ウインタースポーツが好きな人だけでなく、山や自然が好きな人にもおすすめです。あとは、外での仕事になるので寒さに強い人が向いていると思います」と笑います。

ここで働き始めて5年になるという勝村宣彦さんは静岡県出身、縁があって2020年に石川県白山市へ移住しました。リフト係からスタートして現在はゴンドラ係を任されており、営業期間中は毎日早朝にスノーモービルで山頂まで上ってゴンドラの立ち上げ作業も行っています。

「お客さまの中には小さなお子さんもいらっしゃいます。全ての方が安全・快適に乗り降りできるようにするのが私たちの役割です」と勝村さん。やりがいについて「もともと人が好きということもあり、お客さまと言葉を交わしたり、子どもの笑顔が見たりすることができるので、嬉しいですね。また、職場には学生からベテランまで幅広い年代の方がいます。スタッフ同士でのコミュニケーションも楽しいです」と語ります。

スキー場がオフシーズンとなる春から秋には、移住の相談にのっているほか様々な仕事に携わっているそうで、ライフスタイルに合った多様な働き方をしているのも、この地域ならではの魅力だと教えてくれました。

地域が少しでも元気になれるように

「この地域の魅力は、なんといっても自然ですよね。実は、私はインドア派なのですが（笑）、それでも外に出ると空気が違うことに気付きますし、ここにいるだけで癒されます。近年この地域は活力がなくなってきていると言われますが、少しでも元気になれるような存在としてスキー場が頑張っていければという思いです」と、寺さん。

ウインターシーズンだけでなくグリーンシーズン（春から秋）の集客にも取り組んでおり、バーベキュー場やテニスコートを有するほか、2022年には「一里野ドローンパーク」としてドローンの飛行環境を整備した白山一里野温泉スキー場。これからも様々な取り組みで、地域を盛り上げていってくれるに違いありません。