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林業の新たな価値を白山麓から発信。
株式会社 桑木林業
はたらく
白山麓で林業を生業に
農業、漁業、そして林業は私たちの生活に必要不可欠な第一次産業の一つ。
森林は手入れされないと、土砂崩れなどの災害や野生動物による被害につながることもあり、暮らしや自然を守るためにもなくてはならない産業です。
石川県白山市は面積の約84%が森林で、そのうち民有林の面積は約41,520ha(415.2㎢)です。
白山麓は石川県の水源地であること、急峻で脆弱な地形、白山を中核とした観光資源に恵まれるなどの要素から多方面での意図・用途において森林の整備が欠かせません。
参考情報▶白山市「白山市森づくりプラン(白山市森林整備計画)
今回紹介する『株式会社 桑木』は石川県白山市白峰地区で地域に根差す林業を行っています。
1979年に林業・製材・建築業を合わせた協同組合として設立し、2001年に林業部門が株式会社として独立しました。
会長の杉田雅英さんは、一時は家業を継ぐつもりもなく家を出たそうですが、父の「山を守る使命」への思いを聞いて、継ぐ決心をしたといいます。
「父親が閉業させるか考えていた時に私に言ったんです。『山は、山主さんが自分たちを信頼して任せてくれとる。だから、きちんと守っていかないけん』って。あぁ、そうか、林業は山を守る仕事で、誰かがやらなければならないんだなって。そして、それは私がやらなければならないなと、使命感を持って継ぐことを父に伝えました」。
事業承継でつながった後継者
杉田さん自身も高齢となり、継いで山を守ってくれる人を事業承継支援センターで探し、出会ったのが現在代表を務める森田臣さんです。2021年5月に代表取締役に就任しました。
森田さんは同社の他に古紙の回収やリサイクルなどを行う家業を継いでおり、国産木材での製紙への関心から林業に興味を持ち、事業承継の話に手を挙げました。会長の杉田さんは森田さんのアイデアや情熱に驚かされてばかりだそう。
「面白いですよ。これが商品になるのか?これが事業につながるのか?っていう発想がすごいね。目線が違う」。
森田さんの発想力は今まで杉田さんが持っていた林業の概念を覆すこともあったといいますが、杉田さんはそれを柔軟に受け入れます。 この柔軟さは林業だけでなく、他の仕事を経験してきたからこそかもしれません。
一方の森田さんは林業に対してどのような思いを持ち、この『桑木』の承継に至ったのでしょうか。
「林業って面白いんですよ。ビジネスとして色々な側面や可能性を持っていますし、環境への貢献度も高い。
私は製紙の分野から興味を持ちましたが、今後国産の木材を使用した紙は増えてくると考えているんです。パルプの原料となる木材の輸入比率は現在7割を超えています。しかし、円安や燃料の高騰などで輸入するコストが高くなってきている。
一方で戦後に植林した人工林が伐採の時期になっていて、国産木材にチャンスがあるんです。日本の木材って高いから売れない、売れないから商売として成り立たない、結果廃業に至ってしまうという悪循環が少なからずあるんです。ですが、計画的に価格を下げれば市場は回っていきます。林業には事業が成り立つ土壌があると考えています」
そんなときに『桑木』の杉田さんと出会ったといいます。
「白山という恵まれた場所で林業に携われることはもちろん、山を守っていきたいという杉田さんの思い、僕の提案に乗ってくださるお人柄ともマッチしました」。
アイデアが新たな価値を生む
森田さんが考えたものに「くまはぎの薪®」があります。
「クマ剥ぎ」とは、クマが木の皮を剥いでしまうこと。木の内側はやわらかく、水分や養分をたっぷり含んでいるので、クマがこれを舐めるために皮を剥ぐのです。
クマ剥ぎにあった木はそれ以上成長できずに腐り、建築に使われる資材としての価値も当然ゼロ。
特に樹齢30年から50年の木に被害が多く、長年手をかけ木材として丁度良く成長した木が被害に合ってしまうという辛い現状があります。
今回、案内してくれた山にもクマ剥ぎの被害に合った木々がありました。
「かつてはどこの地域も山はよく手入れされていて、臆病な性格のクマが人の住む場所まで降りてくるのは珍しかった。
しかし、手入れされていない森が人里のすぐそばにあるとクマがそこまで迷い込んでくるんです。全国にはクマ剥ぎが多いところから全くないところまで各地異なるのですが、白山麓は母グマから子グマへ伝えられ、その被害は広がり継続しています。
『くまはぎの薪®』は、建築商材としての価値がなくなった木を薪として商品化するだけが目的ではなく、里山を整備していく必要があることを世間にお伝えし、その利益を整備のために使っていくことも目的の一つです」。
その話を裏付けるように、自社でデザインされたパッケージには取り組みについての説明書きも。
今後、クマ剥ぎにあった木を使った家具づくりや、農家の方と提携してバイオ炭の農地施用も考えているといいます。
環境への取り組みと収益化
バイオ炭とは木材などの有機物を不完全燃焼させて生成した炭のことで、このバイオ炭を農業で活用することが注目されています。
農家にとっては排水性・透水性の改善と、pH矯正で土壌改良という利点があり、適切な使用で作物の成長や収穫量に好影響。
環境面からは二酸化炭素の削減につながり、地球温暖化対策の一つになります。
「木は二酸化炭素を吸収しますが、切ったり枯れたりした後は、微生物によって分解されて二酸化炭素として大気に放出されます。
しかし、炭化することで炭の中に二酸化炭素が留まり、排出を削減できる。炭素貯留というのですが、この取り組みで排出削減した分をクレジット化、要するに売ることができるんです」。
企業の二酸化炭素や温室ガスの排出には「排出枠」が設けられており、上限を超えた場合、企業は排出枠やクレジット化したプロジェクトを買って、超えた排出枠を帳消しにします。
森田さんはここに、環境への配慮とクマ剥ぎを伝える意義を備えたビジネスチャンスを見出しました。
「考えている展開としてはクマ剥ぎにあった木で作ったバイオ炭を農家さんへ無償提供し、クレジット化した分の有益を桑木が得るといったものです。
農家さんにとっては化学肥料減や土壌改良など農作物へのメリットがあります。なるべく近くの農家さんとの提携がしたいですね。バイオ炭を運ぶのにトラックから排気ガスを出しては意味がありませんので。
さらに言えばその農作物を例えば『くまはぎ®の野菜』として販売していけたらと考えています」と森田さん。
自然の中で働く心地よさ
現在、山での作業は会長の杉田さんを含めて3人。
そのうちの一人が入社1年目の杉本正信さんです。
「前職は印刷業の技術職で、時には夜遅くまで働くこともありました。ふと自然の中で過ごしたくなり、趣味でキャンプでもしてみようかと考えていたときに『桑木』の求人を見つけ、仕事にするという手があるのかと応募してみました。
朝は8時からと少し早いですが、いろいろな現場に行って、川のせせらぎや草木のサワサワという音の中で働き、日暮れと共に仕事を終える。一日の時間の流れや季節を感じながら働けるのは気持ちがいいです」
未経験からの入社だった杉本さんは、始めはカマでの草刈りから始まり、今ではチェーンソーを使って木の伐採ができるまでになったそうです。
「経験がなくても知識を学び、技術を習得しながら働ける環境なので、安心して飛び込めました。木が倒れるときのバキバキという音が好きなのですが、毎回切った達成感と爽快感が味わえます。
今は私を含めて現場には3人出ていますが、50代の私が一番若く、この歳で若手と言われるのは新鮮でしたね(笑)。ベテランお二人は足元の悪いところでも身軽に歩き、技術も高く、学ぶことばかりです」と杉本さん。
会長の杉田さんは言います「山を任せてくれる人のためにつないでいく仕事」だと。
代表の森田さんが言います「未来に向けて白山の環境を守り育てていく仕事 」だと。
林業の固定概念を覆して、継承と進化が融合する『桑木』の今後から目が離せません。
求人詳細
- 募集職種
- 林業事業部
- 雇用形態
- 正社員
- 給与
- 月給180,000円~230,000円
- 勤務地
- 石川県白山市桑島イ‐1-12
- 仕事内容
- 主に白峰地区での山林伐採、樹木の管理等
機械、重機等を使った草刈り、枝打ち、伐採、
切り出した材の搬出や運搬などの林業全般の作業 - 勤務時間
- 8:00〜17:00
林業のため、季節・天候により勤務時間の変動あり
(日の出から作業し日没前に作業終了)
【休憩時間】午前20分、お昼80分、午後20分 - 休日休暇
- 土曜・日曜(完全週休二日制)
- 求める人物像
- ・やる気のある方
・即戦力となれる方
・未経験も可 - 応募条件
- 普通自動車免許(AT限定不可)必須
年齢不問
チェーンソーや草刈り機、重機などの使用許可があれば尚可 - 加入保険
- 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金
- 問い合わせ先
- 076-259-2228 ▶求人情報詳しくはこちら