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「山の宿は、山らしく」自然を五感で楽しむ宿
にしやま旅館温泉旅館
はたらく
白山麓にある、秘湯の宿
石川県白山市の山あい、標高700メートルの「白山国立公園」山麓に、春から秋にかけての期間限定で営業している温泉旅館があります。
白山市と岐阜県白川村を結ぶ自動車専用観光道路「白山白川郷ホワイトロード」の中宮料金所そばにあり、豪雪地帯のため冬のあいだは閉館している、知る人ぞ知る「秘湯」。明治2年(1869年)に初代が湯治宿として創業した中宮温泉「にしやま旅館」は、六代に渡って大切に守り続けられてきました。
※白山国立公園‥昭和37年(1962)に指定された、石川県、富山県、福井県、岐阜県にまたがる御前峰、大汝峰、剣ヶ峰の3峰と周囲の山々を中心とした指定面積49,900ヘクタールの国立公園。
中宮温泉の歴史は古く、開湯は1300年前の奈良時代末といわれています。白山を開山した泰澄(たいちょう)大師が傷ついた白鳩が谷川で傷を癒しているのを見つけ、川底から湯が湧いているのを発見。その後、里の人々や武士たちから「白山麓の湯治場」として知られるようになり、遠方からも癒しを求めて湯治客が訪れるようになったそうです。
塩分や炭酸、鉄分を含んでおり、炭酸水素塩泉の成分が胃酸を中和し、胃の運動を活発にすることから昔から「胃腸の湯」として親しまれているだけでなく、美肌にも効果があるといわれており、「飲んでも良し、浸かっても良し」の温泉として多くの人を惹きつけています。
自然があり、山の人がいる。「ここ(中宮)が自分のいる場所」。
六代目湯守・西山喜治さんは、中宮で生まれ育ちました。子どもの頃から「旅館で半分生活していたようなものでした」と言い、温泉に親しんだり手伝いをしたりしていたほか、スキーに打ち込み、クロスカントリーのアスリートとしても活躍。大学へ進学するため一度故郷を離れましたが、お母様が亡くなったことがきっかけでUターンし、家業を手伝い始めました。
西山さんは、代替わりをしてから温泉を活用したオリジナル商品の開発に取り組んでおり、温泉卵「おんたまさん」や源泉を配合した化粧水「おんせんさんミスト」といった商品を生み出しました。また、冬の休館中は地元の学校やジュニアチームのスキー指導、引率などをして地域の子どもたちの育成にも貢献しています。
「幼い頃から、ここ(中宮)が自分のいる場所だと思っていました。この豊かな自然と環境、温泉、山の人も含めて全てが好きです」ときっぱり。「ここには現代的なものや便利なものは何もありません。何もないからこそ、何にも邪魔されない、静かな時間を過ごしていただければ」と語ります。
旅館に一歩足を踏み入れると、館内はまるで時が止まったような静けさが広がっています。「山の宿は山らしく、飾らない宿づくりをしたい」と西山さん。昔ながらの建物をあえてそのまま残し、落ち着いた雰囲気づくりを重視。華美な装飾や演出はしておらず、過剰な情報が「ない」からこそ、宿泊者はゆっくりと安らぐことができます。
部屋の窓からは眼前に迫る雄大な山を眺め、近くに流れる川のせせらぎが聞こえてきます。「皆さまにはぜひ自然の静けさを堪能していただければと思います。耳をすませば風の音や木々がゆれる音、鳥のさえずりや河鹿の鳴き声が聞こえてきます。五感で楽しめる、心も身体も癒される、そんな場所でありたいですね」。ちなみに紅葉の季節が最も人気の中宮温泉ですが、「個人的におすすめなのは心が癒やされ、心身ともにリフレッシュできる新緑の季節」なのだとか。
風情のある内湯はもちろん、見逃せないのが露天風呂です。地元の方言にちなみ、男湯は「ぼーの湯」、女湯は「めいろの湯」と名付けられており、目の前に大自然が広がる開放感は格別。思わず感嘆の声が出ます。
日帰り温泉も可能で、取材で訪れた平日の日中も入れ代わり立ち代わりお客さまが訪れていたほか、「お湯汲み」と言い、飲泉や調理などのために源泉を空の容器に詰めて持ち帰る人も多くおり、地域の人たちにとって大切な存在であることが窺えました。中宮温泉エリアには複数の足湯があり、近辺を散策して湯めぐりや森林浴を楽しむのもおすすめなのだとか。
川魚や山菜、きのこにジビエ 山の幸を味わう食事
「にしやま旅館」に宿泊する際の楽しみの一つが食事です。清流で育つ岩魚やニジマスといった川魚、なめこや舞茸など香り高いきのこ、ぜんまいやこごみ、わらび、うど、あざみなど味わい深い山菜、さらには山で獲れる猪など、白山ならではの豊かな食材を使った料理が並びます。調理を担当するのは女将の由佳さんです。この地の伝統料理だけでなく、温泉卵や「猪の温泉蒸し」など温泉を活かした料理も登場。さまざまなアレンジで楽しませてくれます。
名物は朝食の「おかゆさん」です。義兄が鳥越地区で栽培したお米を温泉(源泉)だけで炊き上げたシンプルなおかゆは、ほどよい塩加減がお米の味を引き立てます。こちらのおかゆは「おかゆさん 玄米入り」として商品化されており、売店で購入して家で味わうこともできるんですよ。
お客さまとのさりげないやりとりが励みに
「お客さまが帰られる際、『お料理がおいしかった』『ゆっくりできました』と、何気ない一言をかけていただいたときにやりがいを感じます」と西山さん。もともと中宮温泉には5つの温泉宿がありましたが、時代の流れと共に一軒ずつ廃業していき、現在残るのは「にしやま旅館」を含め二軒です。「リピーターのお客さまから『これからも温泉を守ってください』と切実な言葉をいただくこともあり、このお湯を守ることが私の使命です」と話します。
かつては団体旅行が中心でしたが、現在では個人や小グループが主流。それに伴い、お客さまとの関わり方も少しずつ変わってきているのだそう。「ゆったりとした空間でゆっくりと過ごしていただけるよう心がけながら、今日一日を大切に働いています。『また来るね』と言うお客様の一言が何よりの励みです」。
今回募集するのは、春から秋にかけて住み込みで働く従業員やパートタイマーです。業務内容は接客や清掃、調理補助などさまざま。「温泉が好き、山が好き、自然が好きな方にご応募いただければ」と西山さん。「小さな宿なのであらゆる仕事をみんなで協力してやっています」とのことですが、だからこそ、たくさんのやりがいがあります。
取材時に印象的だったのは、西山さんの穏やかな人柄です。「旅館を営む上で大切なのは、接客やお料理など表向きのおもてなしももちろんですが、お掃除や準備など、目に見えない部分こそが重要になってきます」。お客さまをお迎えする山のようにおおらかな人柄と温かい接客、そして「目に見えない部分」にこだわるからこそ実現できる居心地の良さが、訪れる人たちの心を掴んでいるのだと実感しました。
求人詳細
温泉旅館
にしやま旅館
- 住所
- 〒920-2324 石川県白山市中宮ク5-1-12
- 電話番号
- 076-256-7219
- 募集職種
- 旅館スタッフ
- 雇用形態
- 住み込み、パートタイマー ※季節雇用(4月下旬〜11月下旬)になります。
- 特典
- 賄い付き、従業員の方は温泉に無料で入浴することができます。
- 勤務地
- 石川県白山市中宮ク5-1-12
- 仕事内容
- 接客、清掃、調理補助
- 求める人物像
- 家族経営の小さな宿です。温泉が好きで、自然が好きな方を求めています。
- 問い合わせ先
- にしやま旅館(090-3294-6461)